■JA広島市『実りの人生ノート』
ひと昔前までは、「縁起でもない」と生前に死を語ることはタブー視されてきました。しかし最近では少し様子が変わってきたようです。「わたしが亡くなった後、この田畑はどうなるんだろう」。代々守り抜いてきた田畑だけでなく、生まれ育った家、財産、行事や地域とのつき合い、その一つひとつに「わたしの想い」が宿っています。
『実りの人生ノート』は、いつか訪れる「もしものとき」を少しでも安心して迎えられるように、またその時、ご家族や周りの方々がなるべく困ったり、迷ったりしなくてすむようにという思いから作成しました。
設問に答えるように記入していく形式で、自分の生い立ちや思い出、希望する介護や葬儀の方法、家族へのメッセージなどに加え、農業や農地、地域行事など「農」とのかかわりを次世代へ引き継ぐための項目を設けています。
◇わたしの足あと
子どもの頃、学生の頃の「わたし」、就職や結婚、子育てについてなど、これまでの人生を振り返り、「自分史」をまとめていただきます。
◇もしもわたしが…
病気になったときや、亡くなったときなどのいつか訪れる「もしものとき」、自分はこうしてほしいという「わたしの想い」を記入し、ご家族や周りの方々へ伝えます。
かかりつけの病院や持病・既往症について記入しておくことで、緊急の場合の対処
に困りません。また認知症や寝たきりになったときにどういう介護を望むのかも伝えておきたい内容です。
病名や余命の告知・終末期の延命治療の希望の有無や、臓器提供・献体の意思なども記しておくとよいでしょう。
万一のときの葬儀や埋葬の方法についても、希望を伝えることができます。また、どうしても知らせてほしい人のリストなどの記入欄も設けています。
我が家の法要事のしきたりやご先祖の命日、お世話になっているお寺、神社、教会、また自分が大切にしてきた我が家の行事や地域・ご近所との行事など、次の世代に知っておいてほしいことも伝えておきましょう。
◇法的効力を持つ遺言書
『実りの人生ノート』には法的効力はありません。親族間のもめ事が起こる前に問題を解決するひとつの手段として、ご活用いただきたいと考えています。
ただし、子どもがいない、もめ事は防げそうにないというようなご心配がある場合は、法的効力のある遺言を作成されることをお勧めします。遺言には、直筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。どの方式で作成した場合でも、家族がその存在を知らなければ、その遺言が無駄になる可能性もあります。そのため、このノートにも遺言書の有無や保管場所、作成年月日を記入する欄を設けました。
◇財産の管理
預貯金や共済(保険)などについても整理しておきます。そうすることで、これからの生活でどのくらいのお金が必要で、どれくらい自由に使えるかがわかってきます。このとき、相続税の支払いも考慮に入れておきましょう。
亡くなった後、財産の存在がわからなければその財産が消えてしまう可能性もあり、また、遺産分割後に判明した場合には、再度遺産分割の手続きが必要になるなど、非常に手間もかかることに加え、相続税の修正申告に係る延滞税が発生する恐れもあります。
不動産についても所在地や名義、利用状況などを記入しておきます。先代、先々代などの名義になっているものは、早めに直しておきましょう。また、隣地との境界は次世代の方がトラブルに巻き込まれないよう、略図を記入しておくとよいでしょう。
◇「農」を次世代に引き継ぐために
「わたし」がこれまで大切に守ってきた農業。次世代にその「農」を残していくために、農地や作物、肥料や農機具などについて丁寧に記入し、引き継いでいきましょう。
■これからの人生を花開くために
『実りの人生ノート』の最終ページは、ご家族への「感謝のことば」です。今とこれからを生きるために、率直な思いを綴るページです。
JA広島市では、このノートを記入することにより、これまでの自分史を振り返り、今とこれからの自分のするべきことを明確にして、今後の人生をより充実したものにしていくために活用していただきたいと考えています。 |